12月1日にシンポジウム「空と宇宙の技術で支える、地域のレジリエンス」を開催しました 12月1日にシンポジウム「空と宇宙の技術で支える、地域のレジリエンス」を開催しました

12月1日、2025年度レジリエンス研究教育推進コンソーシアムシンポジウム「空と宇宙の技術で支える、地域のレジリエンス」を、筑波大学東京キャンパスおよびオンライン(Zoom)のハイブリッド形式で開催しました。(アジェンダはこちら
総合司会は小松原康弘氏(セコム株式会社 IS研究所 研究戦略部/コンソーシアム運営委員)が務め、3本の講演とパネルディスカッションを実施しました。民間企業、研究機関、大学などから130名(対面30名、オンライン100名)の参加があり、活発な議論が交わされました。

開会挨拶はコンソーシアム幹事の岡島敬一氏(筑波大学 システム情報工学研究群長)が行い、第1部では防災・減災に資する観測技術の基盤、技術を活用したシステムと戦略、そして現場での社会実装の事例について、それぞれの立場から講演がありました。

講演1: 衛星リモートセンシングとレジリエント社会

講演者:木下 陽平 氏(筑波大学 システム情報系)

衛星リモートセンシング技術、特に合成開口レーダー(SAR)とその応用技術InSARを活用し、災害前後の地表変化や浸水域、地殻変動を広域かつ高精度で把握する取り組みを紹介しました。SARは昼夜観測可能で雲の影響を受けないため、防災・減災に有力な手段ですが、観測頻度やノイズ、解析の自動化など課題もあります。今後は観測頻度向上、AI解析、専門外の利用者にも分かりやすい情報提供の工夫により、予兆把握や迅速な災害対応への貢献が期待されます。

講演2: 事前防災を支える空のインフラと持続可能な地域社会


講演者:酒井 直樹 氏(防災科学技術研究所 極端気象災害研究領域 水・土砂防災研究部門)

災害前から備える『事前防災』の重要性を示し、ドローン・衛星・IoTを活用したモニタリングによる迅速な被害把握と孤立防止の取り組みを紹介しました。空のインフラは、平時には橋や道路などの小さな変化を捉え、災害時には被災状況を即座に把握し、さらに物資や情報を運ぶ新しい道として地域を支える仕組みです。課題は通信インフラの脆弱性、ドローンの耐候性、衛星データ解析の迅速化であり、今後はAI解析や自律運航技術、レジリエントIoTシステムの構築が求められます。

講演3: 離島の生活を、空から支える ~平時・災害時の物資輸送~


登島 敏文 氏(鹿児島県瀬戸内町 保険福祉課 へき地診療所/ 元 奄美アイランドドローン(株)代表取締役)

奄美大島・瀬戸内町ではJALとの共同出資でドローン運航会社を設立し、離島における平時の生活物資輸送から災害対応までを担うサービスを実現しています。物流効率化に加え、地域活性化や持続可能なまちづくりにも貢献しています。一方、離島であるがゆえの通信インフラ制約により高コストな衛星通信に頼っており、今後はLEO衛星やHAPSによる通信環境改善が重要です。

パネルディスカッション: 空と宇宙の技術で支える、地域のレジリエンス

岡島氏の進行のもと、第1部登壇者に加え、大谷謙仁氏(福島国際研究教育機構(F-REI))をパネリストに迎え、議論を行いました。
大谷氏からは、F-REIが推進する過酷環境での災害対応を目指したロボット・ドローンのコア技術開発と社会実装への取り組みの紹介がありました。

続くパネルディスカッションでは、以下のポイントが確認されました。
・衛星で広域を監視し異常を検知、詳細確認はドローンで行うなど、空・宇宙技術をうまく組み合わせて活用することが重要。
・課題:衛星の誤検出回避・観測頻度向上、ドローンの自律飛行と耐候性、コスト低減。
・災害時対応だけでは持続的な運用が難しいため、平時から活用でき、災害時にスムーズに切り替えられる仕組みとビジネスモデルが必要。
・「自律」「平時/災害時」がキーワード。人の判断力と技術の融合がレジリエンス強化の鍵。

最後に、コンソーシアム会長の寶馨氏(防災科学技術研究所理事長)より閉会挨拶をいただき、盛況のうちに会が締めくくられました。

参加者からのアンケートでは、空・宇宙技術の災害対応への可能性に大きな期待が寄せられる一方、技術面やコスト面の課題解決への関心が示されました。F-REIの取り組みや離島での物流実証など、実践的な事例に高い評価と継続への期待があり、官民連携や広報強化の必要性も指摘されました。総じて、技術進化と社会実装に向けた議論継続を望む声が多く寄せられました。
ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました!

12月1日、2025年度レジリエンス研究教育推進コンソーシアムシンポジウム「空と宇宙の技術で支える、地域のレジリエンス」を、筑波大学東京キャンパスおよびオンライン(Zoom)のハイブリッド形式で開催しました。(アジェンダはこちら
総合司会は小松原康弘氏(セコム株式会社 IS研究所 研究戦略部/コンソーシアム運営委員)が務め、3本の講演とパネルディスカッションを実施しました。民間企業、研究機関、大学などから130名(対面30名、オンライン100名)の参加があり、活発な議論が交わされました。

開会挨拶はコンソーシアム幹事の岡島敬一氏(筑波大学 システム情報工学研究群長)が行い、第1部では防災・減災に資する観測技術の基盤、技術を活用したシステムと戦略、そして現場での社会実装の事例について、それぞれの立場から講演がありました。

講演1: 衛星リモートセンシングとレジリエント社会

講演者:木下 陽平 氏(筑波大学 システム情報系)

衛星リモートセンシング技術、特に合成開口レーダー(SAR)とその応用技術InSARを活用し、災害前後の地表変化や浸水域、地殻変動を広域かつ高精度で把握する取り組みを紹介しました。SARは昼夜観測可能で雲の影響を受けないため、防災・減災に有力な手段ですが、観測頻度やノイズ、解析の自動化など課題もあります。今後は観測頻度向上、AI解析、専門外の利用者にも分かりやすい情報提供の工夫により、予兆把握や迅速な災害対応への貢献が期待されます。

講演2: 事前防災を支える空のインフラと持続可能な地域社会


講演者:酒井 直樹 氏(防災科学技術研究所 極端気象災害研究領域 水・土砂防災研究部門)

災害前から備える『事前防災』の重要性を示し、ドローン・衛星・IoTを活用したモニタリングによる迅速な被害把握と孤立防止の取り組みを紹介しました。空のインフラは、平時には橋や道路などの小さな変化を捉え、災害時には被災状況を即座に把握し、さらに物資や情報を運ぶ新しい道として地域を支える仕組みです。課題は通信インフラの脆弱性、ドローンの耐候性、衛星データ解析の迅速化であり、今後はAI解析や自律運航技術、レジリエントIoTシステムの構築が求められます。

講演3: 離島の生活を、空から支える ~平時・災害時の物資輸送~


登島 敏文 氏(鹿児島県瀬戸内町 保険福祉課 へき地診療所/ 元 奄美アイランドドローン(株)代表取締役)

奄美大島・瀬戸内町ではJALとの共同出資でドローン運航会社を設立し、離島における平時の生活物資輸送から災害対応までを担うサービスを実現しています。物流効率化に加え、地域活性化や持続可能なまちづくりにも貢献しています。一方、離島であるがゆえの通信インフラ制約により高コストな衛星通信に頼っており、今後はLEO衛星やHAPSによる通信環境改善が重要です。

パネルディスカッション: 空と宇宙の技術で支える、地域のレジリエンス

岡島氏の進行のもと、第1部登壇者に加え、大谷謙仁氏(福島国際研究教育機構(F-REI))をパネリストに迎え、議論を行いました。
大谷氏からは、F-REIが推進する過酷環境での災害対応を目指したロボット・ドローンのコア技術開発と社会実装への取り組みの紹介がありました。

続くパネルディスカッションでは、以下のポイントが確認されました。
・衛星で広域を監視し異常を検知、詳細確認はドローンで行うなど、空・宇宙技術をうまく組み合わせて活用することが重要。
・課題:衛星の誤検出回避・観測頻度向上、ドローンの自律飛行と耐候性、コスト低減。
・災害時対応だけでは持続的な運用が難しいため、平時から活用でき、災害時にスムーズに切り替えられる仕組みとビジネスモデルが必要。
・「自律」「平時/災害時」がキーワード。人の判断力と技術の融合がレジリエンス強化の鍵。

最後に、コンソーシアム会長の寶馨氏(防災科学技術研究所理事長)より閉会挨拶をいただき、盛況のうちに会が締めくくられました。

参加者からのアンケートでは、空・宇宙技術の災害対応への可能性に大きな期待が寄せられる一方、技術面やコスト面の課題解決への関心が示されました。F-REIの取り組みや離島での物流実証など、実践的な事例に高い評価と継続への期待があり、官民連携や広報強化の必要性も指摘されました。総じて、技術進化と社会実装に向けた議論継続を望む声が多く寄せられました。
ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました!