岡島
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今後の展望や期待につきまして一言ずついただけますでしょうか? |
甘利
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日本の世の中全体で「ドクターをとったからこそ活躍の場がある」という形をとっていかないとなかなか難しいのではと、正直なところ思っています。企業の採用で「全学部全学科」という募集がよくありますけれども、要は、企業が大学教育に「何も期待してないよ」と言っているような採用の仕方を、社会全体で変えていかないといけないのではないかと思います。例えばの私見ですが、各企業が「この分野で学位を持っていたら初任給1200万円出しますよ」となるような動きが、世の中全体的に広がれば、状況は大きく変わってくると思うんですよね。 |
林
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甘利さんのコメントについて考えていたんですが、やっぱりドクターというものに対する考え方をきちっとする必要があるんじゃないでしょうか。日本の高等教育を卒業した人は「グライダー」だと言われてるんですね。卒業したときが一番高くて、後は落ちているだけで、いつまで持つかです。そういうイメージでドクターを考えていたらやっぱり駄目なんじゃないか。アメリカのように、Ph.D.はアドミッションチケットで、資格社会の中で自分を有資格者として示すために必須なんだ、という考え方は、日本では成立していないですよね。さすがに今は教員がほぼ全員ドクターを持つようになって80年代のようなことはないですけれども、アドミッションチケットだという認識はないんじゃないか。アドミッションチケットならば、ひとつのプロジェクトを3年くらいやったら別のところに移ったりして、優秀な人はキャリア30年のうち10回くらい転機を迎えるというようなキャリアパスが作られている。我が国はなかなかそうなっていなくて、グライダー的な社会を維持しているわけです。
理事長をやっていたときに日本型の人事と欧米型の人事の違いを説明した面白い本がありました。資格型社会というのは、一つのポジションに候補者が複数いて、誰かが選ばれて誰かが負ける、負けた人は去らないといけない、というやり方をしているから、さっきの仕組みが成立する。ところが日本では、枠があって順番に人を入れていって、どこかで上位のポジションが空くと、下位の中から良い人を選んで上に行かせる、そうやって駒を動かすようにして優秀な人をできるだけ上に残すような人事が今でも続いている。この仕組みが変わらない限り、やっぱり学位に対する考え方が変わるのも難しいんだろうなという気はします。
だから何が結論かというと、正直ないんだけれども、駒を動かすようにしている社会はどっちかといったら潰れていくかもしれない気がしてるんです。だから資格型に変えていかないといけないけど、そのためには今のみんなをガラガラポンしないと駄目なんじゃないかなという気がしています。みんながどこまで覚悟できるかによって、このコンソーシアムや博士プログラムのあり方も変わっていくんだろうけれども、個人的には、今までの努力を着実に続けるというところが、みんなの落としどころになってるんじゃないだろうかという、危惧のような、安心感のようなところが否めないんです。 |
遠藤
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私は大学のシステム情報工学研究群長という立場もあるので、考えないといけない視点がいくつかあります。一つは研究群におけるコンソーシアム、二つ目は学位プログラムとしてのコンソーシアム、三つ目は副会長としてのコンソーシアム。
まず研究群としてのコンソーシアムで言えば、この協働大学方式は結構いいところが多いので、できるだけ全学に敷衍したいということを考えて、今動いております。ただ、予算の問題もあって、他大学のように企業からお金を集めてという方式もあるけれど、それが我々のシステムと合致するかどうかはまた別の話ですから、ここは十分検討しなければいけないですね。
それから、やはりコンソーシアムの副会長としてもっと活性化させたいなと。そのためには本質的な部分として、今日先生方がお話しなさったように日本の博士に対する考え方というのは何とかしないといけない、それが一番大きいなという気はしています。さらに言うと、今、国立大学の予算がどんどん削減されていますが、日本の博士のあり方については、ここと結構繋がりがあるんじゃないかな。ここは僕一人でどうにかなるもんではないですが、考えなきゃいけないなという気がします。 |
岡島
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最後に、コンソーシアム会長の寶先生から展望や期待はいかがでしょうか? |
寶
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今日議論したようなことを今後のシンポジウムのテーマにしてはいかがですか。参画企業もエンカレッジできるし、外部の方も呼んでドクターの問題をやってもらうとかどうでしょう。今、企業ではジェンダーバランスばかりやっているけれど、ドクターバランスも考えてはどうか、とかそういう発想を参画企業の皆さんにも持ってもらっては。せっかく15の参画機関があり、今でも貢献いただいているんですが、改めて目を見開いてもらう機会にしてはいかがかと思います。 |
岡島
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まだまだ議論は尽きないところですが残念ながら予定時間になりましたので、これで終了したいと思います。本日は活発なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。 |