2021年10月13日(水),第4回レジリエンス研究教育推進コンソーシアムシンポジウム「ニューノーマルに拠るレジリエンス社会の実現に向けて ~COVID-19がもたらした気づき~」を開催しました.
当日の参加者数は150名超にのぼり,一部海外機関を含む大学,研究機関,企業,官公庁などからの参加がありました. また,20の学会,協会,協議会,新聞社等から後援いただきました.
第1部では、筑波大学教授・大学院スポーツウエルネス学学位プログラムリーダーの久野譜也氏,NECセキュアシステム研究所の田中淳裕氏,防災科学技術研究所の臼田裕一郎氏により,健康・ICT・防災のそれぞれの領域から,COVID-19によってもたらされた気づきについて講演がありました.
久野氏の講演では,「コロナ禍における健康リテラシーと政策、世論、及び住民行動との関係」と題し,自粛・ステイホームによりもたらされた運動習慣の減少や認知機能の低下の状況が報告され,これらの改善やコロナ予防のために必要な3つのリテラシー(ヘルスリテラシー、情報識別リテラシー、高齢者のICTリテラシー)の向上策について共有いただきました.
田中氏の講演では,「コロナ禍で見えてきた情報社会インフラの姿とスマートシティへの適用について」と題し,スマートシティを実現するための重要な基盤となるデータプラットフォーム「都市OS」等の情報通信システムの進展について紹介いただいた上で,情報サービス提供の側面から見たレジリエンスの実現について整理いただきました.
臼田氏の講演では,「ニューノーマルで変わるデジタル防災技術」と題し,防災・レジリエンスの文脈でニューノーマルは「Build Back Better(より良い復興)」という言葉で捉えることができ,防災分野ではずっと取り組んできたことであるという考えを共有いただきました.続いて,Build Back Betterに向けた具体的な取組みとして,異なる主体・組織間で即時情報共有するための2つのデジタル防災技術を紹介いただきました.
第2部では,第1部で講演された久野氏,田中氏,臼田氏をパネラーに迎えて「ニューノーマルに拠るレジリエンス社会の実現に向けて ~COVID-19がもたらした気づき~」というテーマでパネルディスカッションが行われ, 3つの講演に共通するキーワードであったICTや,リテラシーの問題,日本式イノベーションの起こし方などについて,それぞれの専門や機関の種別を超えて分野横断的な議論が行われました. さらに,ZoomウェビナーのQ&A機能を利用して会場からも数多くの質問が寄せられ,盛況なディスカッションとなりました.
終了後のアンケート(回収率45.7%)によると,回答者の88%の方が本シンポジウムに満足したという結果が得られました. 今回のシンポジウムでは,ウィズコロナ時代におけるリスク・レジリエンスの社会的関心の高さを改めて確認できたとともに,オンライン開催を通じて全国の参加者にレジリエンス研究教育推進コンソーシアムの活動を広めることができたことも大きな成果となりました.
日時 | 2021年10月13日(水) 13:30-16:40 |
場所 | オンライン(Zoomウェビナー) |
備考 | 参加無料,日英同時通訳付 |
プログラム
総合司会 西出 隆志 筑波大学システム情報系 准教授,リスク・レジリエンス工学学位学位プログラム
13:30-13:35 | 開会挨拶 佐波 晶 氏(大日本印刷株式会社、筑波大学 准教授(協働大学院)) |
第1部 講演 | |
13:35-14:05 | 講演①「コロナ禍における健康リテラシーと政策、世論、及び住民行動との関係」 久野 譜也 氏(筑波大学 教授、大学院スポーツウエルネス学学位プログラムリーダー、スマートウエルネスシティ政策開発研究センター長) |
14:05-14:35 | 講演②「コロナ禍で見えてきた情報社会インフラの姿とスマートシティへの適用について」 田中 淳裕 氏(NEC セキュアシステム研究所 所長) |
14:35-15:05 | 講演③「ニューノーマルで変わるデジタル防災技術」 臼田 裕一郎 氏(国立研究開発法人防災科学技術研究所 総合防災情報センター長、筑波大学 教授(協働大学院)) |
第2部 パネルディスカッション | |
15:15-16:30 | パネルディスカッション「ニューノーマルに拠るレジリエンス社会の実現に向けて ~COVID-19がもたらした気づき~」 モデレーター:遠藤 靖典 氏(レジリエンス研究教育推進コンソーシアム 副会長、筑波大学システム情報系 教授、システム情報工学研究群長) 登壇者:各講演者 |
16:30-16:40 | 閉会挨拶 林 春男 氏(レジリエンス研究教育推進コンソーシアム 会長、国立研究開発法人防災科学技術研究所 理事長) |